書籍・雑誌

Feb 15, 2008

『ナイフ投げ師』スティーヴン・ミルハウザー

Naifu1
図書館の新刊コーナーに、ひっそり置かれていた、この本。なんだか気になって借りてきた。スティーヴン・ミルハウザーを読むのは、初めてだった。短編集ということもあり、一気にではなく、毎日夜のお楽しみに数話づつ読んだ。 小説を読むときに、自分の頭のなかで、映像を映し出すのだけれど、この、ミルハウザーの場合、もう、僕の想像の許容範囲を超えてるっていうか、想像を超えた想像の世界をみせられてしまったというか。すごく幻想的で、静寂の中のきらめきのよな魔法をみた。 訳者の柴田元幸さんのあとがきを抜粋すると、「ミルハウザーを好きになることは、吸血鬼に噛まれることに似ていて、いったんその魔法に感染してしまったら、健康を取り戻すことは不可能に近い。」・・・と。(笑)やはり、魔法なのだ。僕は、個人的に「ある訪問」と「空飛ぶ絨毯」が気に入った。「月の光」かなりいい・・・。勿論、「ナイフ投げ師」もいい・・。「????」ってな作品もあったけど、どれも、終わりかたが、とても素敵なのだ。過激な登場人物やストーリーなのに、最後にはすうっと透明な静けさのなかに吸い込まれるよなエクスタシーを感じる。僕も、ミルハウザーに噛まれて、感染しちゃったかもしれない???それは、どこか、若き日に、グレングールドに噛まれて、中毒になったのと、なにか似てるよなきがした。

|

Nov 24, 2007

『ラヴェル』 ジャン・エシュノーズ

Rave1
ラヴェルの音楽は、僕にとってはちょっと苦手かもしれない。CDだって、ピアノ曲一枚だけ持ってるくらい。そんな僕だが、このラヴェルの晩年を書いた小説は、実に感動した。 ラヴェルの細かいこだわり。特に服のセンスとか。不眠症になるくらいの神経質さとか。 自分の作曲した曲を、難しすぎて弾けなかったりとか。(笑) ヴィトゲンシュタインの兄さんに、左手のための曲を作ったものの・・・。いろいろ、いざこざがあったこととか。 「えええー。そうなの?」「そおだったんだー。」読み進むごとに、知らなかった事実や発見やらで、ラヴェルの魅力の虜になりました。やっぱフランスだもんね。やっぱオシャレだよねラヴェル。でも、多くの作曲家にありがちな、悲劇チックな終楽章だったんだな。なんだか、最後は、淡々とした旋律で書かれているけれど、ちょっと涙ぐんじゃったよ。 でもって。本をとじた後、ラヴェルのCDを探した僕でした。フランスで最初にパステルカラーのワイシャツを着たのもラヴェル。フランスで初めて、ポロシャツ、パンツ、靴、靴下に至るまで、上から下まで白で揃えた格好をしたのもラヴェル。 派手なひだ飾りのシャツでばっちり決めて、プジョー201でゴロワーズを吸っている・・・やせ細ったラヴェルを頭に浮かべながら、「水の戯れ」を十年以上ぶりに聴いてみた。    それは、とても優美な旋律であった。

|

Oct 27, 2007

『秋の四重奏』 バーバラ・ピム

Akino
秋になったら読みたい・・・。と思っていたこの本をやっと図書館から借りて読むことができた。僕にとって久々なヒット作!でした。 人生の秋を過ぎた?老いた男二人、女二人が奏でる四重奏は、ハ長調ってな感じで軽快なのだ。重々しいよな現実も、作家のユーモア溢れる演出で笑い飛ばせる。本を読みながら、クスクスと何回も笑っちゃいます。なんてことない老いた四人の日常だけど、案外、普通の中にドラマチックなことって散りばめられてるのかも・・なんて思ったよ。特に僕はクリスチャンなので、教区やら、神父、牧師の話にはかなりうけました。あはは! 聖職者をおちょくったりするあたりは、馬鹿ウケでした。 四人の設定も、個性的でとっても魅力的。僕も老いたとき、こんな感じにさ、変にセンシティブになったりしないで、悲しみも苦しみも全て、ユーモアとエスプリでぶっ飛ばして、かっ飛ばして、ロマンスとやさしさも常備して・・。いつでも前向きに生きてゆきたいものだとか思った。 にしても、食い物に興味がある僕は、小説の中にでてくる食材やら、料理にまで、ホント、ディテールにまで抜かりないこだわりに脱帽でした。 満月が綺麗な秋の夜長に是非!

|